Eagle に関する Tips
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はじめに
最近, 職場で Mits の基板加工機を買いました.
大学に居た頃, 同社の基板加工機を使っていたのですが,
その頃は MS-DOS 上で基板加工機制御用プログラムに付随する
配線パターンエディタを使っていました.
10 年以上前の話です.
その頃の記憶に対し今回驚いたのは, 加工が速くなったことと
(まぁ正直記憶が定かでありませんが...),
他の電気系 CAD からデータを持ってこれるようになったことです
(これは当時, コンバータが別売りで買わなかったのかもしれませんが).
さてその電気系 CAD ですが,
Eagle のフリー版を使ってみることに
しました.
ここ
などを参考に使い方を覚えていったのですが,
ハマッた所などを幾つか書いておきます.
とは言え, 使い出してから数週間なので, もっといい方法があるのかもしれませんが...
それから昔のように直接パターンを書くという用途には
PCBE
というソフトが使えます.
ノウハウ
- 回路図を書く時, どの部品を使うかも選ぶ. それによって自動的に配線図が
できる.
- 部品はライブラリから選択するが, 標準で入っているライブラリは使いにくい.
そのため, 自分で作っていく必要がある.
- という訳でインストール直後, 自作ライブラリ置き場を作っておくのが吉
([Options]-[Directories] で Libraries にセミコロン付けて自作ライブラリ
置き場を追加).
- 最初に
この辺を参考に電源線を作っておくとよい
(Direction を sup にした 1 端子のデバイスとシンボルを作る).
- ライブラリを新規に作成するには [File]-[New]-[Library] を選択する.
- 一つのライブラリに複数の素子を入れられるので, 大まかな種類に分けておくと
良い (74TTL とか CMOS4000 とか PIC とか CONNECTOR とか).
- 個々のライブラリは「デバイス」「パッケージ」「シンボル」の三種類から
構成される.
- 「デバイス」とは素子の種類. 例えば同じ 74HC00 でも DIP, SOP, TSSOP
パッケージ等があるが機能的には全部一緒なので一つと考える.
- 「シンボル」は回路図に書く時の図柄. これもパッケージに関係無いので
一つと考える.
- 「パッケージ」は基板上から見た素子の物理的寸法. ただし 74HC00 でも
74HC02 でも同じ 14 ピンの IC で外見は同じである. こういうのは一つと考えた
方が後々楽.
- ライブラリを作る時は, 「シンボル」と「パッケージ」を先に作り, その後
「デバイス」を作る.
- 「シンボル」は特に説明の必要は無い.
自分が回路図で見やすいようレイアウトしてピンに名前を付けるだけ.
斜めの線を書きたい時はグリッドを小さくする.
- 「パッケージ」は実際の素子の物理的寸法を反映させて描く.
邪悪なインチ系が使われているので苦労する. 1 インチ = 2.54cm
なので毎回電卓を叩いてもいいが主な長さは以下の通り.
3mm | 0.1181inch |
2.54mm | 0.1inch |
1.27mm | 0.05inch |
1mm | 0.0394inch |
0.8mm | 0.0315inch |
0.65mm | 0.0256inch |
0.5mm | 0.0197inch |
0.3mm | 0.0118inch |
ちなみに普通のユニバーサル基板の穴の間隔は 0.1 インチ
- 「パッケージ」の名称は端子名は 1,2,3... ピン番号にしていた方が汎用が効く.
名称も「DIP-14」とか汎用的なものにしておいた方がいい.
- 基板加工機を使うのであれば, ドリル径が 0.8,1,3mm しか無いので
それらしか使わない方がいい (加工時に融通が利くけど面倒くさい).
- 基板加工機を使うのであればシルク面は実質関係ないが,
配置・配線作業をする際を考えると簡単でもあった方が便利
(外形と 1pin の印程度). 「21 tPlace」に書く.
- その際 TEXT で >VALUE を書いておくとデバイスで関連付けられた名称が
配置・配線画面で出るのでハンダ付けする際便利
(「27 tValues」に書くようだ).
また >NAME を書いておくと R1, R2, C1 などと出るようだ
(こちらは 「25 tNames」に書くようだ).
- 「デバイス」では, まず [ADD] でシンボルを入れて,
[New] でパッケージを追加. 後は [Connect] でピン番号と名称のマッチングを
行う.
- ライブラリの「パッケージ」や「シンボル」を修正する際は, 一旦
「デバイス」で関連付けられている所を右クリック [Delete] してから
修正して, その後 [New], [Connect] 作業をする.
- 自作ライブラリの中に標準ライブラリから「パッケージ」や「シンボル」を
持ってきていじくりたい場合,
- まず ここ から libcpy.ulp
を入手
- いじくりたいライブラリを開く
- [File]-[Run] を実行 ([ULP] と書かれたボタンを押しても可)
- 1. のファイルを選ぶ
- [Browse] ボタンを押してでコピーしたい素子の入った lib ファイルを選ぶ
- 後は [Copy ->] を使って必要なものだけ入手する.
必要に応じ [Rename] 等で名前を変える
とすればいいようです. なお, 実行にあたっていろいろ文句を言われますが,
とりあえず動きます.
- 配線図の描き方は
- ツリーの Projects 部分で右クリック → [New Project]
- 作ったプロジェクトを右クリックして [New]-[Schematic]
- さらに [New]-[Board]
- 2. で開いたウィンドウで回路図を書く (すると 3. で開いたウィンドウに
逐次反映される).
- 回路図が出来たら 3. で開いたウィンドウ上で素子を適当に並べる
(なお, フリー版の制限だと思いますが,
プラスマークを原点とした時,
第一象限のある範囲にしか持ってこられません).
- [Tools]-[Auto] メニュー (ボタン有り) で自動配線させる.
片面基板を作る時は Preferred Directions の 「1 Top」 を
「N/A」にする.
- 自動配線は結構おばかなので手作業で修正
といった流れ.
- 要は黄色い線が「回路図上こことここを繋がなくちゃいけない」もの,
青い線が裏面, 赤い線が表面の配線です.
[Edit]-[Route] で黄色い線は青/赤線に変更できますし, 逆に青/赤線は
[Edit]-[Ripup] で黄色い線も戻せます (いずれもボタンあり).
- 片面基板において, 抵抗の足等で表面でジャンパを飛ばす場合,
配線図上は赤線で引いておくと整合性が取れます.
- 回路図エディタと配線エディタは常に二つ同時に開いておきます.
片方を閉じて, 残りを編集すると整合性が取れなくなったと
Board and schematic are not consitent!
No forward-/vackannotation will be performed!
Use the ERC command to get a detailed error report.
|
などというエラーが沸いてくるようになります.
こうなるとがんばれば直せるようですが, 素直に配線を作り直すのが無難のようです
(とは言え, 苦労して配線を手で修正した後だと哀しいものです...
まぁ計算機チェックができないだけで, データ自体は使えるようですが).
基板加工機へのコンバート
せっかくなので基板加工機へのコンバート法も書いておきます.
よく分からないのですが, 付属マニュアルとはちょっと違いました.
なお, Flash とは基板加工機付属のソフトのことです.
また, 用いた Eagle のバージョンは 4.16r1 Light,
Flash のバージョンは ... です.
- 配線を作る時で外枠に添ってぐるっと一周配線を作る
- 配線エディタで [File]-[CAM Processor] を選択 (ボタンあり)
- 出てきたダイアログで [File]-[Open]-[Job]
- excellon.cam を選び、[Process Job]
- もう一度 [File]-[Open]-[Job]
- gerber.cam を選び [Process Job]
- 出来た drd, sol, whl, dri ファイルを Flash がインストールされた
PC へコピー
- FLASH を起動
- [アプリケーション]-[CONVERTER] にする
- 単位系をインチに
- [条件]-[他 CAD リスト読込] で, CAD 種別を EAGLE, リスト種別を
アパーチャにして、7. の whl ファイルを選ぶ
- 同様にリスト種別をドリルにして dri を選ぶ
- [変換条件]-[フォト変換条件] で次のように設定
座標系 | アブソリュート |
ターミネータ | CRLF |
座標系 | 0.000100 |
X 反転 | しない |
Y 反転 | しない |
後 O サプレス | しない |
アートワーク条件出力 | しない |
- [変換条件]-[穴変換条件] で次のように設定
座標系 | アブソリュート |
ターミネータ | CRLF |
座標系 | 0.000100 |
X 反転 | しない |
Y 反転 | しない |
後 O サプレス | しない |
- 「ガーバイン」で 7. の sol ファイルを「フォト裏」で、drd ファイルを
「穴」にして読み込む。
- 1. で描いた線を用いて外形データを作る (2mm のフォーミングカッタは 0.079
インチ)
- 外周データを作る
- 加工
2007.4