電波時計の分解

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実は最近, あるものに対して創作意欲がわいてきました. それにには電波時計の機能が必須です. まぁ秋月の 電波時計キット を買ってしまえば済む話なんですが, 1000 円前後で電波時計が売られている昨今, キット価格 6400 円は ちょっと高いです.

電波が受信できさえすれば, その先のコード解析なんて (多分) 簡単です. というわけで市販の安物電波時計から電波受信部分をかっぱらうことにしました.

買ったのはこれです. MAG T-555.

開けると無線受信部分はモジュールになっています.
このモジュールには C6005A1 と書かれており, 写真のように 5 つの端子で本体とつながっています (写真右から 1,2,3… 番端子と呼ぶことにします). この 5 つの端子がそれぞれどういった意味なのかを突き止めれば, 流用はできそうです.

ところで, 同じことを考える人は居るもので 既に先人が分解レポートを 書いてます. このページの中でほぼ同じ型の時計が分解されており, 6002H7 というモジュールが使われているとの報告があります. さらになにげに「 5 つある端子は, 右から GND, PON, 1.5V電源, TCO, 40/60 という内訳になっていました」と書かれてます. 6002H7 と C6005A1, 型名は違うけど, 普通こういったものはピンの互換性を 保つものです. そのまま上記ページの情報を信用してもいいのですが, 念のため当方でも調べてみました.

まずは電源周りですが, 配線を追っていくと次のようになっていました. 電池は単三二個直列かと思っていたら, 片方だけがモジュール供給していたようです. でもこういう使い方って, 電池がヘタると楽しいことがおきないのかな?

電池を入れて動かしたまま各端子の L/H を調べると次のようになっていました.
端子番号 1 2 3 4 5
電波受信中 L (0V) L H (1.5V) H/L H
定常状態 L H H L L
参考ページの情報 GND PON 1.5V TCO 60/40

電波受信中 4 番端子が H/L を一秒周期で繰り返すことから, ここは TCO で 間違いないようです.問題は 2 と 5 です. アクティブ Low と考えると 2 番端子は PON だと思ってもよさそうですが, なぜか時計本体側の回路で GND と 47uF のコンデンサとつながっています. 5 が PON で 2 は AGC という可能性はないでしょうか.

というわけで, 2 と 5 端子に関して本体との配線を切断し, IC クリップを使って強制的に H/L にしてみました.結果が次です.

Pin2 Pin5 Pin4
H H Low 固定
H L Low 固定
L H H/L の繰り返し
L L H/L の繰り返しだけど若干ノイズが多い気がする
ちなみに実験は, 関東にある某市で行いました. また, 電波状態が悪い場合, 4 番端子は Low になるようです.

これらから, このモジュールの端子の意味は次のようなものでないかと 考えています.

端子番号 I/O 意味
1 GND I 0V
2 PON I Low でモジュールがアクティブになる
3 Vcc I 電源, 1.5V
4 TCO O 電波を受信した間 High になる
5 60/40 I 周波数選択 (High: 40kHz, Low: 60kHz)

もちろん本当かどうかは分かりません. それは今後, この情報を基にある物を作っていく段階で分かるのではないかと思います.


2010.7