半熟卵を作る

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はじめに

昔, 我が家では朝食に半熟卵が出てました. 作り方は簡単で,

  1. 瀬戸物の器 (例えばラーメンどんぶり) に沸騰したお湯を入れ, 器を暖める
  2. お湯を捨て, 卵を入れる
  3. 卵がかぶるくらい沸騰したお湯を入れ蓋をする
  4. 20 分待つ
  5. 取り出す
というものです. ベストの出来は白身も黄身も固形化されていないものです. 具体的には, 白身は若干透明部分が残っているものの 9 割は白濁し, 黄身は白い膜でコーティングされた液状状態なものを求めてます. 一般には白身が固まって黄身が緩いのを半熟卵, 逆に白身が緩く黄身が硬いのを 温泉卵と呼ぶようなので, 世間的な定義とは若干はなれているかもしれません. 実際ネットで彷徨うと、様々な作り方と半熟卵/温泉卵が存在します。 とにかくここでは上記のものが理想とします.

上述の通り, 求める半熟卵 (ここではそう呼びましょう) の 作り方は簡単なのですが, なかなか理想通りのものは仕上がりません. 卵の初期温度, 投入個数, 外気温など条件が様々かつ微妙だからです.

昔話

実は昔からこの問題に取り組んでいました. 要は, どのような初期条件でも卵の温度変化が同じパターンだと同じ結果に なるはずです. 以下のような理想の温度曲線というのが存在するはずです.

まず, 余熱時期 A を設け初期温度の条件差を吸収します. その後調理時期 B に突入し, ここでは温度 tb を制御し, 時間 Tb の経過を待てばいいはずです.

実は, 電子点鐘器を作った後だから 10 年近い前, このような制御をする機械を試作したことがあります. ブロック図は以下のような感じでした (当時は PIC といえば 16F84A で, AD 付きなどそれ以外の機種は入手困難でした).

結果はうまくいきませんでした. 原因の一つに加熱器の熱容量が大きく, リレーを切っても, しばらく水温は上昇し続け目標をオーバし, さらにその温度がなかなかそれが下がらないことのようでした. 再現性が悪くプログラムでどうこうできそうになかったので, 結局あきらめました.

シャトルシェフ

時は流れて 2009 年, シャトルシェフを買いました. 主目的はハムやソーセージを作る時に低温で茹でる時に使うことだったのですが, 普通の煮込み料理にも大活躍です. 買って正解でした. 付属のレシピには温泉卵の作り方も載っていました. 70℃で50分です. 試してみると黄身が固まった世間一般の温泉卵が出来上がりました. 私が求めているものと違います.

10 年前の敗北を思い出し Ta, Tb, ta, tb をいろいろ変えて ベストの数値を探してみました. その結果, それぞれ 15min, 12min, 45℃, 69℃ がよさそうだということを 突き止めました. まとめると

  1. シャトルシェフの鍋に卵を入れ, その上から水を満たす.
  2. 温度計を入れて火にかける.
  3. 45℃になったら火を止め, 保温装置に移す.
  4. 15 分放置
  5. 再び温度計を入れて火にかける.
  6. 69℃になったら火を止め, 保温装置に移動.
  7. 12 分放置
  8. 12 分後, 卵を取り出し冷水に入れる
といった感じです. キッチンタイマーが欠かせませんが今時 100 円ショップで売ってます. なお, 卵の数は 4〜8 でしか試してません. 20〜30 個など鍋いっぱいの卵では上手くできないかもしれません.


2009.10